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海馬は再生できる

2017.07.28脳疲労と認知症

診察に来られる患者さんの訴えで、最も多いのは 最近の事柄の物忘れです。昔のことはよく覚えているが、最近のこと、今言った事柄が思い出せないと訴えられる方が多くおられます。記憶には、「記銘」・「保持」・「想起」の三つの過程がありますが、歳とともに衰えるのは、新しいことを刻み込む「記銘する」能力の低下です。

 記銘に関係しているのは、脳の視床下部にある「海馬」と言う部位だといわれています。「タツノオトシゴ」によく似た形をしているので海馬という名がついたとのことです。

  記憶は「玉葱」構造をしていて、3~4歳ごろの記憶から始まり、小学生・中学生・高校生と記憶が増えてきます。加齢とともに、秋になると木の葉が落ちるように記憶中枢の玉葱も、外側から脱落を始め新しい記憶から失われます。そして古い子供のころの記憶は残っています。こうしたことは誰にでも起きます。記銘力の低下が進むと、同じことを何度も言う、さっき言ったことを覚えていない、人の名前や固有名詞が出てこない、などの症状が出て来ます。この状態で不健康な生活を続けると軽度認知障害、アルツハイマー病へと進行する危険性があります。海馬の再生を心がけることが重要です。

 海馬は、ストレス・不安・うつ状態・肥満・糖尿病・不活発な生活で容易に萎縮します。

 一方、ストレスのない楽しい生活・瞑想・新しい事への挑戦・旅行などの新しい経験や、地中海食、DHAやEPAを含んだ食べ物の摂取で海馬の神経細胞は再生します。海馬の細胞は加齢とともに毎年1~2%減少しますが、毎日40分の散歩で減少は止まり、逆に増加するとの研究もあります。散歩は、筋肉からの刺激だけでなく、視覚・聴覚・触覚・嗅覚と人間の五感を刺激します。海馬の再生にとって必要なことは、糖尿病や動脈硬化症などの危険因子を減らすこと・規則的な運動・バランスの取れた食事・良い睡眠・メリハリのある生活・家族や友人との良い付き合いといった心身の健康に気を配ることのようです。海馬の神経細胞は歳をとっても再生します。プラズマローゲンも神経細胞の再生を促進します。

 文献:Modifiable factors that alter the size of the hippocampus with aging. Nat.Rev. Neurol 2012 Mar. Fotuhi M et al.

ブックスクリニック東京・福岡 
(もの忘れ・脳疲労外来)外来を担当 
新 福 尚 隆