脳疲労と肥満
脳疲労と肥満
1.脳疲労は肥満の始まり
肥満はなぜ起こるのかー
自分の意思ではない「何か」に動かされている
簡単にフローチャートで示せば下図のようになります。
ストレス過剰状態が長く続くと脳の機能が低下して、情報処理、情報伝達にズレが起こってきます。 この状態をBOOCS理論では「脳疲労」と呼ぶことにしています。「脳疲労」が起こると五感(味覚・聴覚・視覚・嗅覚・触覚)が異常(鈍感)になります。五感というモノサシが狂えば、 それを基準に している行動がおかしくなるのは当然です。
例えば、味覚が鈍感になればたくさんの量を食べたり、より甘いもの、より塩辛いもの、こってりした食べ物を好むようになります。一方「脳疲労」が起こると動くことがおっくうになってきます。その結果本人は普通のつもりが客観的には過食し、体を動かさないようになりますので摂取エネルギーが増え、消費エネルギーが減るために余ったエネルギーが体に脂肪として蓄積されて肥満になるのです。
2.「なぜ」食べ過ぎるのでしょうか
「食べ過ぎ」「食べ物の質」「運動不足」など・・・
これらは脳疲労によって引き起こされる行動異常です。
ここで大切なのは「なぜ」過食してしまうのかが重要なポイントです。
「食べ物がたくさん身近にあり、食べる機会が多いから」「運動する時間がないから」と答えられるかもしれません。
もちろんそれも正解ですが、このような考え方は生活習慣病・肥満の理解が部分的で、生活習慣病・肥満の全体像をとらえていません。
実はこのことが、従来の食事療法(カロリー制限療法)や運動療法が短期的にはうまくいっても、長期的にはうまくいっていないことにつながるのです。実際に肥満者から圧倒的に多い回答を挙げると・・・
などでの回答が得られました。つまり、自分の意志ではない別の何かにつき動かされ、「食べる」「運動しない」ということが起こっているのです。
なぜ生活習慣病・肥満の人は食べ過ぎてしまったり、運動しないのでしょうか?
3.ストレス過剰こそ生活習慣病・肥満の推進役
肥満者の多くは「食べ過ぎないようにしよう」「運動しよう」と思ってもできないのです。このような状態の時に、「食べるな」「運動しろ」という形の肥満治療がきわめて困難であることは容易に理解されると思います。
さらに理解を深めてみましょう。
図に示すように「ストレス過剰」が生活習慣病・肥満の最大の原因であると考えます。
ストレスとは、その人をとりまく環境やあるいは状況によって生み出されます。多くの場合、人間関係(夫婦、親子、兄弟、友人、上司・部下、同僚、教師・生徒などの人間関係)や仕事の内容や量、 暑さ、寒さなどの気候、あるいは急性・慢性の病気などです。
この「ストレス過剰」は別の表現をすれば「情報過多」ということができます。 それを受けとめ処理するのは「脳」です。「脳」は適正なストレス量(情報量)であれば容易に適切に処理できるのですが、 それが過剰になるとちょうど手足の筋肉を繰り返し、頻繁に動かし続けると疲れて動かなくなるように、「脳」もその働きが悪くなります。 このようにして「脳疲労」となり、「五感異常」が起こってきます。
生活習慣病・肥満者は味覚テストで味覚が鈍くなっていることが確かめられています。 つまり、生活習慣病・肥満者は正常者と比較して、 同じぐらい甘い物や塩辛い物を食べてもそれほど甘いとも、塩辛いとも感じにくくなっています。 したがって、同じ量を食べても満腹感が少ないために、本人は大まじめで普通に食べているつもりでも、正常者と比較すると量はたくさん、質は太りやすいものをとることになるのです。 エネルギーの摂取と消費のバランスが壊れ、さらに前述のように運動する意欲が低下するので、ますますエネルギー過多になり生活習慣病・肥満が助長されることになります。