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なぜ、0歳の赤ちゃんにはお母さんのそばが大切なのか

2025.12.01ブックスサイエンス

「生後3か月で保育園に預ければ、これでしばらく安心できる」

そんなふうに思って決断されたお母さんも多いと思います。それほどまでに、今の社会は働くお母さんに厳しく、心の中にはたくさんの迷いがあったことでしょう。

でも、お母さん。0歳の赤ちゃんにとっては、まだまだお母さんのぬくもりが必要で、離れることは心に大きな負担になることがあるのです。

 

朝は時間との勝負。時計を横目に急いで支度をし、赤ちゃんを保育園に預けて職場へ向かう日々。きっと胸がぎゅっと痛むこともあったと思います。

「ママ、行かないで…」

そんな気持ちで必死に泣く赤ちゃんは、お母さんの姿が見えなくなった瞬間、もっともっと不安になります。

・「お腹すいたよ」

・「おむつが気持ち悪いよ」

・「抱っこしてほしいよ」

・「さみしいよ、ママ」

そんな小さなSOSを、赤ちゃんは泣くことでしか伝えられません。そして泣いてもお母さんが来てくれないと分かると、赤ちゃんの心の中に“初めての挫折”が生まれてしまうこともあるのです。

 

生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、毎日がすさまじいスピードで発達しています。お母さんの声、抱っこの温かさ、表情、匂い…

そのすべてが、安心と愛情の記憶として脳の中に刻まれていきます。

でも集団保育では、どうしてもひとりひとりの赤ちゃんの細かな要求にすぐ応えてあげることが難しくなります。すると赤ちゃんは、「泣いてもママは来ないんだ」「気持ちを伝えても応えてもらえないんだ」と感じてしまうことがあります。「泣いても届かない」という経験が、赤ちゃんの脳に残ってしまうのです。

 

この経験が繰り返されると、赤ちゃんは次第に、泣かなくなり、笑わなくなり、手足をあまり動かさなくなる――

いわゆる “サイレントベビー”と呼ばれる状態に近づいてしまうことがあります。一見、「手のかからない良い子」に見えても、実は心の中でたくさんの気持ちをしまいこんでいるのかもしれません。

サイレントベビーが成長すると

本来なら、生後2か月頃から赤ちゃんは

・笑ったり

・泣いたり

・表情を変えたり

・声を出したり

・身ぶり手ぶりで伝えようとしたり

 

そんなふうに、心の世界を豊かに広げていく時期です。けれども、スキンシップが少なかったり、気持ちを受け止めてもらう経験が不足すると、

・あまり笑わない

・声をかけても反応が薄い

・目を合わせない

・寂しさを表せない

 

という姿が出てくることがあります。

 

そしてそのまま大きくなると、人との関わりが苦手になったり、自分を大切にできなかったり、心の痛みとして現れてしまうこともあるのです。赤ちゃんにとって、いちばんの安心はお母さんに抱っこされ、声をかけてもらい、気持ちを受け止めてもらうこと。それだけで、赤ちゃんの脳も心も健やかに育っていきます。赤ちゃんは、お母さんのぬくもりが何よりの栄養なのです。

だからどうか、お母さん。

抱っこしてあげてください。

たくさん話しかけてあげてください。

難しいことは何ひとつなく、あなたの温かいぬくもりこそが、赤ちゃんにとって最高の宝物なのです。

 

そしてもし、働くことや環境のことで悩んでいたら、それは「あなたが頑張っている証拠」です。どうか自分を責めず、誰かに相談しながら、あなたと赤ちゃんにとって一番心が安らぐ道を見つけてください。