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「BOOCS脳ケアセミナー」レポート

2019.12.20ブックスサイエンス

2019年11月17日(日)、BOOCSサイエンス主催の医療・介護や食育関係等の
リーダー向けのセミナーが下記テーマで開催されました。

「これからのリーダーの知恵―脳疲労を知って脳元気へ」 講師:藤野武彦
「BOOCS法を始めると何が変わるか」 講師:若菜智香子

働く人々のストレスの現状、そしてその具体的対応策としてBOOCS法のお話をお二人の講師からお聞きしました。特にその中でも参加者にとって「フィンランド・パラドックス」の内容は衝撃的であり、かつ納得いくものでした。
今回は、このお話をご紹介させて頂きます。

現代医療の現実を示す「フィンランド・パラドックス」
メタボリック症候群・生活習慣病は、かつて先進国特有の悩みでしたが、今や世界共通の最重要社会課題となっています。それらのいくつかが複合した状態になると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるために、早期治療が強く推奨、実行されているのですが、その治療法は食事制限と積極的運動が主となっています。しかし、その成功率が低いことは昔も、今も治療現場ではよく知られていることです。また、体重が減少して成功したように見えても6ヶ月足らずで元の体重に戻るか、リバウンドするケースが圧倒的に多いことも事実です。

さらに成功率が低いだけでなく、介入を行うと却ってマイナスになったというのがヘルシンキ(フィンランド)での臨床試験結果です。現在のメタボリック症候群に相当する男性1,222人を対象に介入群(食事制限などの生活指導を行った群)と放置群に分けて15年間追跡した結果、介入群で冠危険因子が改善したにもかかわらず、放置群に比較して明らかに(統計的有意に)総死亡数、心臓血管死が増大するという、全く予想外の結果となっています。論文発表者もその理由が全く分からず「フィンランド・パラドックス」と呼ばれるようになりました。

しかし、これはパラドックスではなく、むしろ現在の治療法の本質を示しているのではないでしょうか。というのは、日本でも類似の結果が出て来ているからです。日本人男性の肥満者の割合が、定年後の世代を除き、働く世代では年々増大しているからです。すなわち、厚生労働省は2000年の初めから「健康日本21」というテーマの生活習慣病対策としてフィンランドの臨床試験よりもっと広範な社会的介入を行っていますが、そうした努力にもかかわらず肥満は年々増加し、心臓血管死も増え続けています。

これら二つのデータから、現在の予防・治療法の原理そのものに問題があるのではないか、少なくとも治療法が現代文明社会の状況とかみ合っていないのではないかと考えるのは極めて妥当です。
ところが、フィンランドの臨床試験の報告から30年近く過ぎて生活習慣病の実態は深刻化しているのに、なお同じ治療・予防対策が続けられているのはなぜなのでしょうか? それは生活習慣病の発症メカニズムとそれに基づく治療原理の見直しがなされていないからと考えられます。すなわち、過食などの悪い生活習慣により病気は発症し、悪い生活習慣を矯正すれば予防・治療できるという概念が、医療現場を支配しているからです。今、求められているのは一時的な表面的な対処療法ではなく、その発症の根本原因であるストレスによって生じた「脳疲労」を解消する確かな方法なのです。

元気に至る道標としてのBOOCS法
フィンランド・パラドックスとサイエンスの言葉をシンプルに置き換えたBOOCS法のお話を伺って、自らの健康は自らで守るというスタートラインに立つことの大切さを痛感致しました。
会場からは熱心な質問が出され、参加者一人一人の立場や職種、そして受け止め方は違っていても、それぞれの心深くにBOOCSの種が播かれていくのが感じられました。これらの種が、やがては各人の持ち場や生活の場で多様な形と彩りで美しく花開いて行くのが楽しみに思われました。 (文責 川端・松口)