BOOCSブログ
睡眠と認知症の深い関係
2018.01.18脳疲労と認知症
寝る子は育つと言います。睡眠は脳にとって必要不可欠です。睡眠中に脳は記憶を整理し、成長ホルモンを増やし、免疫機能を高めます。また、睡眠中は日中に溜まった脳の老廃物を分解・除去しているといわれています。
世界の中でも、日本人の平均睡眠時間は極めて短く(6.5時間)フランス人(8.7時間)に比べると2時間以上も少ないとの事です。睡眠中はおよそ90分ごとに、深い睡眠と浅い睡眠を繰り返し、浅い睡眠の間は夢を見ていることが知られています。夢を見ているときは眼球が素早く動くので、レム睡眠(REM, Rapid Eye Movement)と呼ばれます。夢を見るレム睡眠は、昼間のストレスの解消に必要です。睡眠不足が続くとストレスがたまり、イライラしやすくなることを経験された方は多いのではないでしょうか。
最近、睡眠不足は、認知症の原因物資であるアミロイドベータ―を増加させるという研究結果が報告されました、慢性的に睡眠不足が続き、睡眠負債が蓄積するとアルツハイマー病を招く危険性が大きくなります。
日本でも、昨年11月「認知症を予防する睡眠法」と言うタイトルのテレビ番組が放送されました。睡眠障害は認知症の発症の大きな危険因子であるとの内容です。ことに「いびき」をかくのは、睡眠中の気道が狭くなる睡眠時無呼吸症候群の症状で、脳が酸素欠乏状態になっている証拠です。低酸素状態が続くと脳細胞は容易に死滅し、最終的には認知症へと至ります。 「いびき」をかく人は、上向きでなく、(横向きで寝る・抱き枕を使う)などのアドバイスもありました。
不眠の原因は身体的なものだけではありません。高齢者不眠の最大の原因は、メリハリのない生活です。1日人と会うこともなく、なんの刺激もなければ脳は疲れません。眠れないのは当たり前です。認知症で受診される患者さんには不眠、浅眠、夜間覚醒、睡眠覚醒リズムの不規則化、レム睡眠障害など様々な睡眠障害を訴えられる方が少なくありません。睡眠と認知症には深い相互関係があります。睡眠時無呼吸症候群などの身体的原因を治療するのはもちろんですが、毎日の適度な運動や人との交流をすることでリズムある生活を送り、快適な睡眠を保つことが認知症の予防には大切です。
文献
1)スタンフォード式最高の睡眠:西野精治著 サンマーク出版
2)Sleep and Alzheimer disease pathology-a bidirectional relationship, Ju YE, Lucey,Holzman DM. Nat.Rev. Neurol. 2014,Feb.
ブックスクリニック東京・福岡
(もの忘れ・脳疲労外来)外来を担当
新 福 尚 隆