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プラズマローゲン物語 (54) (55)を掲載しました。

2022.01.11プラズマローゲン物語

プラズマローゲン物語(54) 二重盲検試験の結果

二重盲検試験は2014年11月から2016年4月までの期間に、関東、関西、九州の医療機関25施設で、MMSE-J20点から23点までの軽度アルツハイマー病患者、MMSE-J24点から27点までのMCI患者合計328人が参加した。その内、24週間の試験を終了したのは276人であった。

その結果は次のとおりである。軽度アルツハイマー病患者(98名)では、WMS-R(ウエクスラー論理的記憶検査)で評価した結果、77歳以下と78歳以上の年齢群で比較すると、77歳以下において、プラズマローゲン群はプラセボ群と比較して統計的に有意な記憶改善が認められた。また、女性では年齢に関わらずプラズマローゲン群で有意な記憶改善が見られた。プラセボ群にはまったく変化がみられず、世界で初めてホタテ・プラズマローゲンの優位性が認められたことになる。この結果は、Cell PressとThe Lancetから共同発行されている医学雑誌「EBioMedicine 17(2017)199-202」に掲載された。

軽度認知障害178名では、MMSE-Jの11項目のうち、「場所の見当識」についてプラズマローゲン群が有意に改善、プラセボ群との間に統計的に有意な差が認められた。また、「時間の見当識」については、プラセボ群では24週後に統計的に有意な悪化がみらたが、プラズマローゲン群では悪化は認められず維持された。この結果は「Journal of Alzheimer’s Disease & Parkinsonism(2018)8:419」に掲載され、ホタテ・プラズマローゲンが認知症予防につながることを世界に発信した。

これらの結果は2016年11月に九州大学医学部百年講堂で行われた第1回国際プラズマローゲンシンポジウムで発表された。会場には国外からの参加者の姿もみられた。シンポジウムでは藤野武彦の臨床試験の結果発表のほか、プラズマローゲンに関する基礎から臨床までの幅広い発表があった。シンポジウムは翌日のNHKのテレビニュースでも取り上げられた。

今回の二重盲検試験の論文が掲載された「EBioMedicine」や「Journal of Alzheimer’s Disease & Parkinsonism」はいずれもネット上で公開され、世界中の研究者が読むことができる。藤野たち研究グループは以前からもプラズマローゲンの抗酸化作用や神経新生作用などの新しい研究結果は海外の論文に投稿することにしていた。もちろん海外の論文採択には編集責任者の厳しい審査があるが、これまでほとんどが審査をパスして掲載されている。

このようにして藤野の研究チームのプラズマローゲンに関する研究論文は世界中に広がっていった。そして2020年12月には、国内外の研究者と共に国際プラズマローゲン学会(https://iplsweb.org/)も立ち上げている。

プラズマローゲン物語(55) バイオマーカーの開発

これまでプラズマローゲンの血中濃度の測定は、2007年のカナダでの例のように血清の濃度で測定されていた。これには高額な測定器を必要とし、また膨大な時間を要していたので、研究目的で行われていたことがほとんどで、一般には測定しにくいものだった。しかしプラズマローゲン物語㉒で書いたようにレオロジー機能食品研究所で馬渡志郎がより簡便なやり方で赤血球膜のプラズマローゲンを検出方法を発見して以来、希望者があれば、一般人でも測定が可能となった。現に藤野武彦のBOOCSクリニックでは希望者にプラズマローゲンのバイオマーカー検査を行っている。

前項の臨床試験でも血液(血漿と赤血球膜)のプラズマローゲン濃度を測定したが、その中で新しい発見があった。正常高齢者と臨床試験参加者の血中プラズマローゲン濃度を比較したところ、アルツハイマー病が重症になるに従って血漿も赤血球膜もプラズマローゲン濃度が低下していた。ところがMCIでは血漿ではプラズマローゲンに有意な差はみられなかったが、赤血球膜ではすでに正常者より明らかに低下しているのが判明した。赤血球膜は脳の赤血球膜に近いので、この結果はMCIの早期発見につながり、認知症予防に大いに役に立つと考えられる。現在、世界的に使用されている認知症検査としては、問診形式のMMSE法があるが、客観的指標となる検査で簡便なものはいまだ確立されていない。

また藤野武彦や馬渡たちは、さまざまの病気の血中プラズマローゲンの濃度を測定しているが、肥満、高血圧、糖尿病、心臓病、パーキンソン病などの多くの病気で、血漿と赤血球膜のプラズマローゲンが減少していることを突き止めた。しかも病気の種類や重症度によって血漿と赤血球膜のプラズマローゲンの数値が異なっていることも突き止めた。「脳疲労」と関係している病気の方がプラズマローゲンが減少していることから、藤野は「脳疲労」はプラズマローゲンの現象であることがほぼ間違いないと思っている。30年前から提唱している「脳疲労」概念であるが、プラズマローゲンの研究を進めれば進めるほど、それが実証されていく気がしてならない。

さらに藤野は医療雑誌のインタビューに応えて「今後はプラズマローゲンの血中濃度が健康診断の項目になり『脳疲労』の早期診断に役立つことを目指しています。現在は質問紙を用いた『脳疲労』診断とバイオマーカーとしてプラズマローゲン血中濃度を組み合わせた脳機能診断システムづくりを始めていますが、数年後には健康診断の必須項目として身近に測定できる検査にしたいと考えています」と語っている。